コーナー名 正直者一家のイギリス生活録

 

10. ちびっこギャング

 

日本でも最近はずいぶんと治安が悪くなってきましたが、イギリスでは泥棒がとても多いです。(最近は知りませんが)

 

当時正直者の会社、従業員の人たちはずいぶんと被害に遭っていました。

 

中には朝起きてみたら、車庫にあったはずの車がなくなっていた、あるいは買い物に行って駐車場に戻ってみたら自分の車がなかった、などというツワモノ(?)もいます。(※すべて鍵はかけてあるし、もちろんキーを車につけっぱなしなどということはありません。)

 

会社でノートパソコンがなくなるのは日常茶飯事、あるときなど、デスクトップのものがねこそぎやられたりしていました。因みにその事件の後、デスクトップパソコンは特性のチェーンで机とつながれました。

 

幸い正直者一家は泥棒の被害に会いませんでしたが、スリにはよくあいました。(実際に取られたのは1回だけですみましたが、、)

 

最初はまだイギリスに来て間もない頃、ロンドンのある寺院の中でのことです。このときが唯一の被害でしたが、最初は取られたことに全く気づかず、寺院から外に出て地下鉄の切符を買うときにはじめて財布がないことに気づきました。

 

それからというもの、都会にでる時、特にロンドンの観光地に行くときには十分気をつけるようにしていました。

 

ある日のこと、オックスフォードストリートと呼ばれるロンドンのメイン通りを歩いていたときのことです。 その通りはいつもたいてい多くの観光客で賑わっているのですが、その日もよい天気で通りは観光客でいっぱいでした。

 

当時、正直者妻は生まれたばかりの子供をベビー(プッシュ)チェアーに乗せ、背中にリュックを背負い歩いていたのですが、あの事件以降、かなり神経質になっていた正直者が、何気にリュックのところに目をやると、まさに小さな手がリュックから財布を抜き取ろうとしているところでした。

 

思わず、正直者がその手の先に視線を移したとき、運良く相手の視線と合いました。 それで相手はあせったのか、つかんでいた財布を地面に落とし、一目散に逃げていきました。 正直者は条件反射的に、その相手を追いかけました。そして200mかそこら走ったところで、相手に追いつくと、相手は観念したのか、道端に座り込んでしまいました。

 

よくよく見ると正直者妻の財布を取ろうとした犯人は、日本でいえば、まだ小学校5〜6年生位の白人の女の子でした。 その子は、正直者をにらみながら、さかんに「私は何もしていない!」というようなことをわめいていました。

 

正直者はしばらく相手をにらみつけていましたが、なにも言わず、なにもせずその場を後にしました。

 

追いかけている最中に正直者の脳裏をよぎったのは、絶対に許さない!場合によってはいくら子供であろうが、パンチの一つでもお見舞いしてやる!ということでした。 

 

けれど、いざその子をおいつめ、その子の目をみたときに、何もできませんでした。 

 

その後、ロンドンでやはりおなじような子供のスリに何回か合いましたが、幸いにもすべて未遂で食い止めることができました。

 

当たり前のことですが、すりは犯罪であり、許されることではありません。また、そのような被害に遭えば、不愉快極まりありません。

 

でもなぜか、子供たちの、そのうすよごれた服装や手、足を見たときに、少しくらいであれば、許してあげようかなと思ってしまう正直者なのでした。

 

 

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